診療項目

過活動膀胱とは

まず、「尿意切迫感」があり、「頻尿・夜間頻尿」や、時に「切迫性尿失禁」がある状態を過活動膀胱といいます。
現在40歳以上の男女の7-8人に1人(国内推定で800万人くらい)が、過活動膀胱の症状を持つといわれている身近な病気です。

尿意切迫感

突然尿意を感じてトイレに行きたくなり、我慢が難しいと感じる症状

頻尿

昼間起きている間、排尿のために8回以上トイレに行く症状

夜間頻尿

夜、寝ているときにトイレに行きたくなり、起きる症状

切迫性尿失禁

急におしっこがしたくなり、トイレまで我慢できず、尿がもれてしまう症状

膀胱は腎臓でつくられた尿を溜めて、尿がいっぱいになると、尿道から体外へ尿を出します。

膀胱に尿をためる(畜尿)ときは、膀胱はゆるんでいて、尿道の筋肉(尿道括約筋:にょうどうかつやくきん)が閉まっていて尿がたまります。
尿を出す(排尿)ときは、逆に尿道括約筋がゆるんで膀胱が収縮して、尿が排出されます。これが正常な膀胱と尿道の働きです。

過活動膀胱の場合は、尿がいっぱいになる前に膀胱が勝手に縮もうとして(収縮)、尿意切迫感を感じたり我慢できずに尿が漏れてしまいます。

過活動膀胱の治療には、さまざまな方法があります。ここでは代表的な治療法をご紹介します。
いずれも医師の診察を受け、正しい方法で治療してください。

行動療法

行動療法の主な治療法は、生活指導(肥満の改善、便秘の改善、食事、飲水の指導など)、
骨盤底筋訓練(骨盤底筋とよばれる尿道、膣、肛門の周りをしめる筋肉を鍛える訓練)、膀胱訓練(おしっこを我慢し、膀胱の容量を増やす訓練)、
干渉低周波療法(皮膚に電極を貼り電気を流すことで骨盤底を刺激する治療)などがあります。

薬物療法

過活動膀胱の治療薬には抗コリン薬、β₃アドレナリン受容体作動薬があり、膀胱の過敏な動きや尿意を抑え、膀胱に尿をためやすくします。
しかし、口が渇く・便秘をする・目がぼやける・尿が出にくくなるなど副作用がでることもあり、不適用の方や効果が不十分となる方もいるので、
注意が必要です。特に緑内障で治療中の方や、普段から便秘で困っている方は、必ず医師へ申し出てください。

そのほかの治療法

ボツリヌス療法

薬物療法で効果が十分でない過活動膀胱に対する新しい治療法です。
ボツリヌス菌が作るたんぱく質(A型ボツリヌス毒素)から精製された薬を膀胱の筋肉に注射して、膀胱の異常な収縮を抑えることをめざします。
日本では2020年から保険適用になっています。

仙骨神経刺激療法(SNM)

仙骨神経刺激療法とは、排泄に関係する神経に持続的に電気刺激を与えることによって、過活動膀胱の症状の改善を図る治療法です。
持続的に電気刺激を行うため、心臓ペースメーカのような装置を体内に植込みます(手術が必要です)。
日本でも2017年9月から健康保険が適用されました。

最新のESWL治療

ESWL(体外衝撃波砕石術)の日帰り・一泊治療も可能になりました