診療項目

腎盂・尿管腫瘍

腎盂・尿管がんとはどのような病気でしょうか?

腎盂・尿管がんは、泌尿器科の悪性腫瘍の中でもまれで、人口10万人あたり、男性0.1人、女性0.1人程度の発生頻度といわれています。

尿の流れ道である腎盂・尿管は、膀胱と同じ組織(移行上皮)からできています。そのため膀胱がんと同様、尿路内のいろいろな場所に発生します。膀胱と腎盂・尿管にがんが同時に認められることもあります。また腎盂・尿管を治療後、30~40%程度、膀胱内にがんが発生するといわれています。

尿管腫瘍1

どのような症状に気をつけたらよいのでしょう?

最も多い症状は、血尿です。尿管が徐々につまった(閉塞した)場合には、水腎症と呼ばれる上部尿路の拡張(腫れ)がおこることがあります。この状態が長く続くと、腎臓の機能が消失してしまうことが少なくありません。この尿管の閉塞が血液の塊などにより急激に生ずると尿管結石によるものと同じような痛みが生ずることもあります。特別な症状がない場合にも、水腎症の原因を調べていくうちに腎盂・尿管がんが発見されることもあります。

尿管腫瘍2

腎盂・尿管がんが疑われたときどのような検査をするとよいのでしょう?

最も多い症状である血尿が認められた場合、膀胱がんの検査もかねて膀胱鏡検査が行われます。
膀胱内に腫瘍が見つからない場合、さらに腎・尿管の検査をすすめます。 排泄性腎盂造影(DIP)と呼ばれる造影剤を静脈より点滴し、尿の流れ道(腎・尿管・膀胱)の形や機能を見る検査やCT検査を行います。また膀胱・尿管を通し細いカテーテルを挿入しレントゲン撮影を行なう検査(逆行性腎盂造影)が必要なこともあります。
水腎症の有無、腎盂・尿管腫瘍のおおよその位置をこれらの検査によって確認します。

次に腫瘍が悪性かどうかを調べるために、細い内視鏡(尿管鏡)を挿入し、腫瘍の確認や組織検査(生検・細胞診)を行います。悪性腫瘍が確認もしくは、その疑いが高い場合には、治療が必要になります。

尿管腫瘍3

どのような治療方法があるのでしょう?

腎盂・尿管がんに対する治療方針は、外科療法(手術)が主体です。手術は一般的に腎臓、尿管、さらには膀胱壁の一部も含めた腎尿管全摘除術が行われます。この腎尿管全摘除術は腎がんと同様に、お腹を切る手術(開腹手術)と腹腔鏡手術の2つの方法があり、患者さんの状態にあった方法を選ぶことができます。

尿管のがんでは、場合によっては腎臓を摘出せず、尿管の部分切除や尿管鏡による切除が行われることがあります。 また、表在がんの治療成績は良好なのに、膀胱内に再発しやすいという特徴もあります。浸潤がんであった場合、尿管の壁は非常に薄いため、浸潤性の尿管がんは容易に尿管の壁の外に進展します。浸潤性の腎盂がんでは血管やリンパ管の豊富な腎実質内へ進展し、転移することが多いからです。このため、手術の結果によっては抗がん剤の治療を行い、再発を少しでも少なくするような治療を行うことがあります。

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手術後はどのようにしてゆけばよいのでしょう?

定期的なCTなどのレントゲン検査、膀胱鏡検査などが必要です。

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